2018/06/12

自作小説の大まかな話の流れ投稿【エセ推理小説】23

主人公塔婆ユウが推理できないのにインチキな推理をしようとする小説です。
流血不愉快な台詞があるかもしれません🙇



「私って探偵に不向きかな…。」
 しょぼくれて無様にうなだれた。摩耗一族の当代は殺人が起きたとうのに微笑をたたえていたのだ。脳裏にこびり付いてとれない、最低な記憶だ。
「人が死んでいるのよ?!どうして平然としていられるの…」
「ユウコ…」
「ユウです。」馬場がそつなく訂正するも。
「ユウコ。これはおじいちゃんが用意してくれた架空の舞台だって思えばいいんじゃないかな。」
「あ、あなた正気?!」
 愛は曖昧な笑いを浮かべてにソファに身をゆだねた。
「だってそうしないとユウコ、壊れちゃいそうだから。これはおじいちゃんが書いている推理小説の世界で、ユウコとあたしたちは小説の登場人物。主人公のユウコはクローズドサークルのなかでいかに犯人を見つけるか?!ってね。」
「私が主人公?」
「そう。嫌だったらあたしがもらうけど。」
「いいえ。私が主人公よ。」これは文豪伽藍が書いている推理小説。ゴールデンタイムに流れる暇つぶしのサスペンス。奇妙な感覚がユウに押し寄せる。
 主人公はずっとなりたかったものだから。
「だったら無念に死んだ野見山さんの弔い合戦しなきゃ。」
「と、弔い合戦…」 ちゃめっ気たっぷりに言い放った愛に
「あなたは苦しくないの?人の死体…」
「ああ。あたしはお父さんもお母さんも死体になっちゃってたし、別に不思議と恐くなかったね。ユウりんは初めて?」
「ええ。初めて…」
 思い出すだけで身の毛がよだつ。
「幸せもの。」
「そ、そうかしら?」
 ありがとう。言いかけて淀む。礼を述べる場面ではないことは確かだがその先が見当たらない。伏し目がちにシミがこびり付いた絨毯の模様をなぞる彼女を観察する。
(ベタベタだけれども、まつ毛が長いのね。)
 精巧にできた細工の如く彼女は完成されていた。陳腐な例えであるけれど―ユウはクラスメイトの、校内の幾人の顔を正確に覚えているわけではないが―こんなに美しい人を前にしたことがなかった。造り物みたいであるとも思えた。
「…どうかしたの?そんなジッとみて。恥ずかしいわ。」
 こちらの視線に気づき、底なしの瞳が興味深そうにしている。
「お人形さんか…天使みたいだって考えてた。あなたとても美人だから。」
「私が―天使に見えるの?」
 愛がくすくす笑いをこぼした。
「天使なんかじゃないわ。ユウコはあいも変わらず変なことを言うのね。」
 絵本を抱え彼女は上機嫌である。鼻歌を奏で足をぶらつかせている、ユウは形容しにくい恐怖におののいた。彼女は例え両親の死を乗り越え感覚が麻痺しているとしても、ここまで平生に過ごせるのは―異常だ。
馬場でさえ怯え常に緊張しているのに…カノジョは?
「どうしたの?怖い顔して?」
 強張りを悟られて気まずくなる。愛は好意をよせている、それを無碍にするのは惜しい気がした。少女はむりやり笑顔を取り繕い話題を転換させた。
「え?そうかしら?…あ、あのさ。その絵本、とても気にいっているのね。ずっと抱えているから。」
「これ?」
 意表をつかれた愛が絵本へ視線を向ける。紙は擦り切れセロハンテープで修復した痕が見受けられた。彼女が生まれる前のものだろうか?絶版になっているのやもしれないそれをユウに渡してきた。
「ずっと昔、お星さまに降り立った子どものお話よ。絵本作家の人が作ってくれたんだ。このお話が私は大好きなの。何度も何度も読み返しているのよ?あいにく三善や友里恵みたいに難しい本は読めないけれど…ね。」
 頬が熱くなる。愚問に、彼女は優しく答えてくれた。
「よかった。やっと、普通の顔になったねユウコ。」

 
つづく
読み返すとちょっと恥ずかしいです(笑)

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