いぬかん☆サイト

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自作小説の大まかな話の流れ投稿【エセ推理小説】19 

主人公塔婆ユウが推理できないのにインチキな推理をしようとする小説です。
流血不愉快な台詞があるかもしれません🙇

「あれ…まだ寝ていなかったの?」
「ええ、聞きこみをしている最中なの。申し訳ないのだけれどアリバイを教えてくれないかしら?」
 少年の名は外連といった。三善を呼びに来た、あの少年である。
「どうぞ。」快く招き入れてもらい拍子抜けした。癖の強い人々にぶち当たってきたせいか、酷い態度で突っぱねられると決め込んでいたからだ。
 愛読者なのだろうか。名もしれぬ小説がびっしりと本棚に並べられていた。どれもふるちゃけていて新品はない。こむずかしそうな書籍を平然と読める少年へ素直な尊敬をむけた。
「雨の日はずっと本を読んで過ごしている。このウォークマンでお気に入りの曲を流して―そうすると心が安らぐんだ。」
「これが例のウォークマン。」
「そんなにじっと見られると恥ずかしくなるや。たいした曲は入ってないよ。元から入ってたやつ。最近の機械はすごいねえ。」
 確かに画面に表示されている曲名はクラシックなりなんなり、流行りの曲はうかがえなかった。
(あの糞ガキ共と比べたらだいぶ親しみやすいなぁ。それに物分りも良さそう。)
「犯人探しをしているんでしょ?」
「ええ。推理をしろとあなたたちのお父様に命じられたから。」
「それはかわいそう。あの人はちょっと変わってる。」
 嫌味ともとれる言葉に彼は苦笑しただけであった。身内からも変人として認識されているなんて。
「だからといって意地悪しているわけではないんだ。あの人は純粋なんだ。だから、周りから誤解を受けやすい。」
 椅子に腰かけとつとつと語る彼は老齢の家主と似ている。顔つきだけではなく、纏っている雰囲気も。ナズミたちよりも。
「不審な音はしなかったよ。誰かが話している声はしたけど、なんせ集中していたもので。コマのノックも聞こえないほど。」
「何時…といっても時計がないのだもの。確認のしようがないか。」
彼の部屋に時刻を告げる物は一切ない。それに彼は読書に熱中していたのだから。 
「ナズミたちにからかわれたりしなかった?だったら謝るよ。―あの子たち、つっけんどんな態度をとるし。生まれも相まって気難しい。」
「まあ…」腹違いと言っていた。
「彼らは養子として貰われてきてなかなか心を開かないんだ。僕にも友里恵姉さんにも。どう接していいか探ってる。」
 なるほど。彼らの容姿に合点がいった。摩耗一族が不自然に子沢山なのは養子をとっているからだ。  
「愛ちゃんも養子だったっけ。」
「えっと…ずいぶん前に尋ね人がきて、あの子は引き取られたというよ。残念ながら詳しいことは知らないけれど」
 外連が本をしまいながら言う。
「そう。ミヤビとは関係ないんだ。」
「うん。本当は磨耗家ってのは余所者を受け付けないんだ。君たちはとても運がいい。もちろんあの子も、ミヤビさんも。」
 世捨て人の集まりという印象のまま、一族は排他的な思想を持っているらしい。でもそうにしてもその意思は緩いものだ。 
「迷信なんて時代遅れだから。」
「迷信?」
「森はあの世と繋がっていて、迂闊に外へ出てしまえば亡霊にとり憑かれやがてあの世に連れていかれる。だから外に出てはいけないし、外の者を招き入れてはいけない。―僕らの家に伝わる迷信さ。」
 確かに鬱蒼と茂った木々の合間に蟠る暗がりは異界へ通じていそうな気味悪さを宿している。
「その磨耗家は迷信を長年守ってきた、と。」
「君の言う通りなら里に出てないおかげか、里の人たちから完全に忘れられているみたいだね。本当に馬鹿げてる。」
 自嘲気味に彼は椅子に腰掛け、おどけてみせた。
「みんな、どっか外界に無関心なんだ。今回だって僕らは部屋に篭もりっきりで、客のもてなしもしない。」
「そうかしら…。」
 家政婦はきちんともてなしてくれたではないか。加えて家主は最低なサプライズをしてくれもした。
「少なくとも関心は持っていると思う。だって、あなたは私とこうやって話しているのよ。ミヨシも。」 
「前向きな意見ありがとう。」破顔した少年は皮肉にもとれる礼を述べる。

つづく

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