2018/04/17

自作小説の大まかな話の流れ投稿【エセ推理小説】15

主人公塔婆ユウが推理できないのにインチキな推理をしようとする小説です。
流血や不愉快な台詞があるかもしれません🙇


 結果は得られなかった。二人は廊下へ退散し一息つく。
「私はまだ出歩く。」
「しかし、危険では…。」
「あんたは明日に備えて寝てなさいよ。血を見て眠気が覚めちゃったの。それに探偵ごっこ、ふっかけられたんだし。」
 実の所死体を見てすぐベッドに入りたくはなかった。蒼白な肌をして倒れていたって彼女の閉じた瞼がいつ開くか、それは丑三つ時かもしれないし夢の世界かもしれない―そんな根源的で馬鹿げた恐怖が背筋に蟠っているのだ。
 人の形をした物体は気味が悪い。犯人に怯えるのも山々だが死の記憶を上書きしたい一心だった。
「探偵ごっこ、ですか…。馬鹿げておりますね…。」
 鼻にシワを寄せ不快そうに馬場は呟いた。
「あんたにもそういう感情あるんだ。」
「当たり前じゃないですか…。」拗ねたような複雑な心境なのか、付き人はそう吐き捨てる。おどおどしているだけかと思いきや―まだ一日も立たないけれど大分慣れてきたのだろうか?
「じゃあ」
 お別れの挨拶を済ますや否や、袖を掴まれヒッと気道が縮まった。
「な、なにっ?!…こほん、まだ何か用があるの?」
 慌てて無様に驚いた様相を取り繕いねめつける。すると付き人は
「…気をつけてくださいね。保身のため、鍵はかけさせていただきます。ノックを一回、してください。開けますので。」
「わかった。じゃあ、おやすみなさい。」
(なんなのよ、びっくりしたじゃないっ!)
 深呼吸をし背中を見送っていると間髪をいれずゾッと悪寒が走った。馬場は背を向けているのである。ありえない、こちらを伺う人の気配、いや、これは視線だ。
 視線に反応して振り返る。犯人か?
「…。」
 ―肖像画が薄気味悪くユウを見つめていた。この男は摩耗家の当主のなのか、それとも始祖なのか分かりかねるがかなりの年季がある。睨み返してみるものの気味悪さは変わらない。夜の肖像画や人形は苦手だ。
(電気もつけないなんて悪趣味よ。あの当代、わざとそうやって私たちに意地悪しているんじゃないでしょうね?!)
 壁に手を付きながら念入りに周囲を警戒する様はあまりにも滑稽だが、そんなノミの心臓を追い詰める出来事がふりかかった。
「ひっ!」
 廊下をかけて行った「何か」に飛び上がる。やはり幽霊だ!
「あ、愛ちゃん?イタズラを仕かけようとしているんでしょ?バレバレたからぁ?!」
 カラ元気に語りかけてみた所返事はない。返事が可能な物体は存在していなかった。
 幽霊。
 嫌でも感じざるえない。息を整え、再び壁に張り付く。埃がわずかな隙間に埋まっている。壁紙にはシミがあり長らく新調されてないみたいだ。―じっと壁を眺めている奇妙な少女はそろりそろりとスライド式に進み出した。

 全体像を把握するには聴き込みが大切である。彼らのアリバイを参考にして怪しい人物を炙り出す。いかにも探偵らしい作業だ。
「こんばんは。」
 ノックをしてみるけれど応答なしである。家主に続いてこいつもか!しつこくノックを続けたが一向に返答がないので勝手に開けさせてもらう。
 眩い、とまではいかないが淡い灯りが漏れいでる。雑音の混じる音色が耳に入り、人の気配を感じた。
 レコードをかけ、子供たちが音楽を聴いていた。なんて古風なと感慨深く見ていると、彼らはやっとユウに気づいたようで怪訝そうにこちらへ寄ってきた。
「ごきげんよう。」
 鬱陶しそうに幼女が挨拶して来る。確か―
「私は和巳。こちらが兄の柊。で、この子が緋色…あなたは塔婆ユウ、だっけ?」
 ナズミが無愛想に自己紹介をしてくれた。兄は以前嫌悪感まるだしで挨拶もしない。随分嫌われているみたいだ。
「そうよ。なんとでも呼んでちょうだい。」
「あっそ。」
「あやしいおばさんだあ。」とヒイロも警戒しながらも近づいてくる。
兄弟にしては皆外見がかけ離れている。色白でソバカスが目立つナズミと褐色肌のヒイロは異国情緒が溢れているし「…私達、異母兄弟なの。悪い?」視線がバレていたのか吐き捨てるように彼女が言う。
「ごめんなさい。」
「ふんだ。あんたみたいなナヨナヨしたやつ、私は大嫌い。おじいさんがなんだか偉い人みたいだけど、あんたは別に偉くもなんともないんでしょ?」
 あんまりな歓迎に叫びだしたくなるも核心がもてる事柄を思い出した。
「あんたたち、さっき廊下を走っていったでしょう?ああいう悪戯はダメ。ましてや殺人事件が起きた日に。あなた達一族といると気が狂うわ!」
 指をつきたてとっちめる、が、彼らはきょとんとして顔を見合わせた。
「はぁ?何言ってんの?廊下に出てねーし。」
(え?本気で幽霊…)否が応でも野見山の亡骸を連想する。未だ死を自覚しない彼女の霊魂がさ迷っているのであると?
「き、きききのせいだったみたいねっ!」
「…あ、うん。」


つづく


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