2018/04/11

自作小説の大まかな話の流れ投稿【エセ推理小説】14

主人公塔婆ユウが推理できないのにインチキな推理をしようとする小説です。
流血や不愉快な台詞があるかもしれません🙇


「物音はしなかった、オンボロ屋敷にしちゃ防音が効いてるわね。」
 コマのそそっかしい足運びが天井から響いてきても不自然ではないはずだ。外が騒々しいだけに微かな音はかき消されてしまったのか?
「争わなくても倒れる音は聞こえると思いますが…」
 馬場もその点は同意するようだ。
「緊張してあんまり周りに気が回らなかったっていうのはあるけど、あなたは?」
「僕もです…。」
 断定できるのは三善が犯人候補から外れる、それだけである。
「防犯カメラがあれば一発なのだけど。皆の行動を把握出来るものがないわ。」
「まあ…ないでしょうね…。」
「…………。」
「現場を視察しましょう。」
「えっ?!あんなに怖がってたのに?!」

 遺体が弔われずに放置されている光景は薄気味悪いというよりはシュールさえにおわせた。肌が少しくすんだような、毛質が悪くなったような、野見山の体は当初より生体らしさが抜け落ちていた。ただし血なまぐささは未だに室内に蟠り不快感を生じさせる。
 いきなり起き上がったりしないでしょうね?ユウはおっかなびっくり鑑査を始めた。
「なむ。」合掌し亡者へ黙祷する。
 一巡した所、足跡や争った目立った形跡は一切ない。殺風景な寝室は一見すると小綺麗に整っていた。勝手に荷物を漁るも所持金やクレジットカードはあり、金銭目的の可能性は薄い。野見山かおる。ゴールド免許だ。
「キャンプにきていたのよね。確か…河川が増水したため、逃げてきたんだっけ。」
「だからシェラフがないんですね。」
「ああ、あんたには言ってなかったわね。きっと着の身着のままここにたどり着いたんでしょう。本当に運が悪いひと。」
 死人に口なしだ。サバイバルナイフやトンカチは彼女の荷物には含まれていなかった。濡れた財布と小物やらがある時点、物取りの線は潰される。
 残されるは私怨。それと異常な精神状態の者による快楽的な犯行。後者はなるべく遭遇したくはない。クローズドサークルにおいて異常者はとんでもない惨劇を誘発する―鉄板じゃないか。
「やはり私怨かしら。」
「だったら知人であるあの二人が怪しくなります。」
 勝代と為成。血の気の多い現代女性と快活そうな男性。二人の素性を存じないのだ。
「包丁でグサッてね。血の出が少ないのは、刃物が小ぶりなものだったから。相手は急所を心得ていたとしか思えない。」
 乾いた血痕が絨毯をくすませている。致死性があったにせよ、出血量は少なく見えた。野見山さんは抵抗した素振りもなく床に事切れている。
 警戒感を顕にせず殺人犯と会話していたのだろう。
「摩耗家とは…多少なりとも警戒心が湧くでしょうね…。」
「家政婦の可能性は?」
「可能かも知れませんが…動機が…。」
 馬場が野見山さんの遺体を眺め、眉を顰める。
「人が良さそうな方でしたから…。」
「殺傷の位置が低いわね。」
 心臓でもなく、腸に近い部分を刺されている。彼女は決して背は低いわけではなく平均的であった。わざとそこを刺したのなら、追求する余地はなくなるが―。
(アサシンの仕業…?)
とんちんかんな推理しかひねり出せず自己嫌悪に陥る。(野見山さんが暗殺計画を企てられる人ならまだしも。そんな必然、絶対にありえない。)
 雨宿りさせていただいている家主の命令とはいえ、無理難題をふっかけられて
(でも野生動物の推理よりはマシかもしれないわ…―あら。)
「窓が開いてる…」
 鍵は開けられ、建てつけの悪い窓枠から雨水と木々の湿った風が隙間から入り込んでいる。ホテルなどで特に用はないけれど、空気の喚起として開ける場合はあれど外は生憎どしゃ降りだ。
 野見山さんの気まぐれだってありうる。
「変わった所はなし。―なんだか私たちが現場を荒らしちゃったみたいになってるわね。」
 多少なりとも足跡をベタベタとつけ回り、ものをひっくり返し、現場維持の観点でいえば最低な視察であった。物静かな寝室から生活感は感じられない。
「でも少し、変だと思いませんか?」
 馬場がベッドを指さし、「野見山さんは…多少なりとも椅子に座ったり、ベッドに荷物を置いたり、何かしら家具を動かすはずです…それなのにベッドのメイキングもそのままで…僅かでもシワがよるはずなのに…。」
 ベットのシーツはぴっちりと一つなく、家具も傾いたり、倒れたりもしていない。人の手が加えられた形跡があるのはカーテンと窓だけである。
「犯人が、証拠隠滅を測った?」
「ええ。」
 犯人は殺意が湧いたとはいえ、ある程度の冷静さは持ち合わせていたわけだ。
「不気味ね。」人を殺したくせに。


つづく


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