いぬかん☆サイト

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自作小説の大まかな話の流れ投稿【エセ推理小説】12  

主人公塔婆ユウが推理できないのにインチキな推理をしようとする小説です。
おおまかな感じなので脈絡がなかったらすいません。流血はもちろん不愉快な台詞があるかもしれません🙇


「ユウさまっ!?」
 脱兎のごとく、部屋の前を駆け抜けた。いきなりの逃亡に付き人は面食らい哀れにずっこけた。どたばた騒いでいる余所者への罵倒は一切なく、それもまた不気味であった。
 徒競走なら断然一位をとれる全力疾走でユウは当主のドアにかじりついた。喉が悲鳴を上げ鉄の味が滲む、よたよたと後を追う馬場を尻目にドアノブの装飾を確かめた。なんだか分からないけれどきっと豪華な装飾なんだろう。彼女は思考することを放棄した。
「…もう…びっくりしまたよぉ…。」
(問題はこのドアを私が叩くという、最低なアクション。ああいやだ。緊張してきて尿意が催してきた…。)
 彼女は目上の人と話すのが苦手であった。三善のときは愛という潤滑油がいたおかげでなんとかなったけれど、今はまともに対話できるかも怪しい。絶対に頼りにならない(主観的な印象である)馬場と一緒に、あの狂人を説得する?できるわけがなかろう。
「どうなされました…?」
 もたもたしているユウを不思議に思ったのか、付き人が問うてきた。
「緊張してノックできない!代わりにあなたがやってちょうだい!」
「えっ?な、なんでですかぁ?!理不尽ですよ!」
「第一あんたがなんとか説得しようってきりだしてきたのよ?私は正確には同意していないし、本来ならあんたが進んでやることなの。いい?」
 我ながら酷い押しつけだと自覚しながら馬場の気弱さにつけこんだ。母親の説教の仕草を真似て彼を圧倒する。なんと卑怯で臆病者なのだと、良心が喚き散らしている。
「…あ、あなた助手なんでしょ?だったら当然よ、それに私は伽藍の孫。地位は私の方が上なんだから。」
「…………はあ、怖いなら正直に言ってください…地味に傷つきます…。」
 バレバレだったみたいだ。
「…なら正直に言う。大人の人と話すのが怖いから、あなたが代わりに話してくださらないかしら。」
 ジト目というやつだろうか。とても自尊心と精神を削り取るような目つきで彼は「しぶしぶ」ドアへ向きあった。木の板を叩く硬質な音がやけに大げさに聞こえる。
「あのぅ…」
 ノックするも返事はない。当主は友里恵と一緒に自室へ向かったのを覚えている。けれどその自室から人の気配すらしないのである。
「…寝てしまったのかしら?」
 老人である。就寝していてもなんら不思議はないのだ。
「失敬しますわ。」怒られるのも承知でドアノブを捻ってみるも―施錠がかけられびくともしない。二人は互いのテンションが一気に下がっていくのを感じ、黙りこくった。
 冷静になってみれば鍵が開いているほうがおかしいのだ。老人は無理難題を若者へ仕掛け自分だけ寝てしまった。ただの冗談か、気まぐれか。そんなものである。
「…はあ…ムカついてきた。あの時とんずらしていればよかった。」
「ですが…」
「私は摩耗家に遊ばれてるのよっ!?」
「ユウさまっ…!聞こえしてしまいます…」突如声を荒げた文豪の孫に付き人は肝を冷やす。彼女のヒステリックは分からなくもないけれど…。
 コマはヒステリックに効く薬を所持しているだろうか?もし、あるのならこの少女にも分けてあげるべきだ。
 わざとらしい溜息をつきツカツカと客間へ引き返していく。馬場は内心この先が思いやられると胃を痛めた。
 彼女の第一印象は高圧的で馬場の嫌う「自分を特別視しているひと」なのだと思っていた。伽藍の孫。それだけでもステイタスは得ているし、何より証拠として少女の目つきは常にこちらを見下して卑下している。
 伽藍はもの静かで気さくな人物である。加えて寛大な心を持ち得、この打ち捨てられるはずの存在を救ってくれた。慈悲の塊であった。
 その遺伝子を受け継ぐ孫があの様子であったのはかなりの打撃を受け、心中三善のように失望した。的外れだったからである。彼女も他者を低俗と見なし、自らを棚上げする汚い人間だったのだ。
 祖父をただのステイタスだと思っているのではないかと疑っていたけれど、摩耗邸での行動を観察にしているうちそうでもなく、きっと本当に心のよりどころして慕っているのだろうと馬場は願いだしている。臆病で弱虫な心をひた隠し自身を鼓舞しているのだと、信じたかった。
 己と同類のか弱く脆い人なのであると。


つづく

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